「Allianz ASP World Junior Championships 2014」

今年のジュニア世界一を決める舞台に選ばれたのは、ヨーロッパのポルトガル。この前にはWCTの男女、QSプライムも開催され、ビッグイベント月間の最後を締めくくるのがこの大会だ。会場のあるエリセイラのリベイラ・ディリャスビーチは、潮の状況でも大きく変化するライトブレイクのポイント。大会のウェイティングに入る25日からスウェルがアップするとの予報で、関係者の期待も高まった。

今大会には各リージョナルの7地域(北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、ハワイ、日本)から男子48名、女子18名のトップアスリートが集結。日本からは大原洋人、新井洋人、仲村拓久未、安井拓海、塚本勇太、村上舜に加え、女子では野呂玲花、田代凪沙という今年も最強のメンバーが揃った。

大会の初日の25日は7時半のファーストコールで、8時からスタート。天候は晴れ。サイズは3?4フィートのエクセレントコンディションにて、まずは女子から。いきなりスタートのR-1で緊張したのか野呂は2位、田代は3位でR-2へ回る。続いてR-2。野呂は昨年の経験もあり落ち着きを取り戻し、積極的に攻めてR-3へ。田代は波の選択が悪く、まったく自分の演技ができずにここで敗退。日本のグランドチャンピオンにして、世界の厳しい現実を知ることとなった。ノールーザースのR-3で野呂は2位でR-4へ。ここで今日のスケジュールは終了。

大会2日目。女子のR-4がスタート。野呂は昨年のチャンピオンのElla Williams (NZL)も対戦するも、まったく波とのサイクルが合わず敗退、今大会を終了した。ジュニアにおいても女子のレベルは大幅に進化。日本人選手はサイズのある波に慣れていないという経験不足があるとはいえ、基本であるレールワークが全然違う。世界との差がまた広がったことは否めず、女子に関しては一からやり直す必要があるだろう。

続いて男子もスタート。サイズはアップし、4?6フィート。村上舜が大逆転1位で勝ち上がりを決めれば、安井、新井、仲村も1位でアップしてR-3へ。ただ、塚本、大原は調整不足で3位でR-2へ回る。翌日、大会3日目のR-2。塚本は十分逆転できるチャンスがあったものの、それを活かせず敗退。大原はやはり板が合わないのか、まったく点が伸びない。しかし、後半、それでも決めるとこ決めて辛くもラウンドアップし、皆が待つR-3へ。

大会4日目。会場の波のサイズは5-6フィート。R-3がスタート。ここで、日本勢の快進撃がストップ。村上、新井が僅差で敗退。大原はまだ本調子ならずも、何とか勝ち上がる。H-16では仲村vs安井という日本人対決。ここは、仲村が優位かと思われたが、ワイプアウトで決めきれず。その隙に安井がポイントを重ね、何と先輩の仲村を破ってR-4へ。

続いてR-4。まずは大原。いつものパワフルでクオリティーの高い演技が見られない。前のヒートで足の親指を打ち付けた影響もあるのか、ターンの後の伸び、踏ん張りが足りない。最後まで諦めず逆転を狙うが、残念ながらタイムアップ、今大会は9位という成績で終了。続いて安井はカノア五十嵐と対戦。カノアが先攻するも点は伸びず。じっくり波を待つ安井。セットをテイクオフするとフルレールでのリエントリー。ジャッジの評価も高い。少ないチャンスを活かし、カノアを倒しQFへ。

QFの安井の相手は、地元ポルトガルのVasco Ribeira。しかし、攻めたのは安井。今大会ではマニューバーが重視されていて、安井のスピードあるフルパワーでのリエントリーの連発に7.67ポイント。このままいけるぞと思っていた矢先、ローカルナレッジで波をすべて把握しているVascoの反撃。メリハリある演技で大きなスプレーを上げる。立て続けにグッドスコアを決めて安井を突き放す。しかし、逆転に必要なポイントは6.51 ポイント。今の安井なら十分逆転できるはずだ。

しかし、安井が選んだ波は、当て込んでエアーという演技。波の先が崩れるのを見ての演技だったが、ポイントは5.33。日本ならグッドスコアがつくとの自信からか、ジャッジにアピールするも評価はアベレージ。ここで歯車が狂った。波をじっくり待って、マニューバー勝負でいけば十分チャンスがあったはず。やはり、経験不足が否めなかった。これで今大会を5位という成績で終了。しかし、初挑戦でここまで戦えたのは評価に値する。これもすべて経験。この積み重ねが選手を強くする。胸を張って、次に進んで行って欲しい。

さて、今大会の優勝は男子が地元のVasco Ribeira (PRT)。そして、女子では前田マヒナ(HAW)が2014年度のジュニアの頂点に立った。おめでとう!

WJCはパーソナルな戦いながらも各地域の力を見る指針として、今回もASPリージョナル7地域の男子トップ4人の獲得ポイントの合計を計算。過去2年との比較を下記に表記した。

2012年度2013年度2014年度
1位 Australasia1位 South America23,200 pts1位 Europe25,700 pts
2位 North America2位 Europe18,950 pts2位 South America21,450 pts
2位 Hawaii3位 Japan16,250 pts3位 Hawaii13,750 pts
4位 South America4位 Australasia15,200 pts4位 Japan12,700 pts
5位 Europe5位 Africa10,450 pts5位 North America11,500 pts
6位 Africa6位 North America10,250 pts6位 Australasia9,200 pts
7位 Japan7位 Hawaii7,500 pts7位 Africa4,500 pts

1位は地元のポルトガル勢のVasco、Tomasが頑張ったヨーロッパ。2位にはセミ、ファイナルまで2名残ったブラジル中心の南米。昨年最下位のハワイは、R-4まで3名が勝ち上がり3位へ躍進。日本は僅差で4位。続いて5位北米、6位オーストラリア、7位アフリカという結果となった。

JJPは3年目、大会フォローとしては4戦目。R-3には5人が進出。更にR-4へ2人、QFへ1人という成績。総合3位から1つ順位を落としたものの、十分、世界を相手に戦えたと思う。ここで、注目したいのは今大会で大原はシード4位、新井は8位、仲村11位、村上12位と4人が赤ゼッケンをつけて挑んだこと。これは世界でQSを廻ってポイントを積み重ねた結果でもある。

これはWJCの中で優位に進めることができる一つの作戦だ。つまり、R-1から強い相手との対戦がないということ。ここを1位通過すれば、R-3へジャンプアップ。それだけチャンスが広がる。やはり、選手個人の努力だけでなく、こういう戦略も必要だということ。この結果を通してジュニア選手には、もっと積極的に世界QSをフォローすることを勧めたい。

今大会ではニュースにも取り上げられた日本チームへの評価。特に男子全体の実力がさらにアップしたことに注目したい。それは積極的に世界を回ることで、場数、経験を増やし、自身でトレーニングやコーチングを受けることでの自信を深めた結果でもある。また、それを行う上で、メーカーのバックアップも増したことがこの評価にも現れているのだろう。

元来、メーカーが主体となって選手育成を行うのが世界では普通。それができなかった日本において、肩代わりして活動したこの3年。JJPが一歩ずつ形になった成果でもあると思う。これで日本にも、この流れが根付いたと考えたい。このメーカー主導の育成がさらに進めば、ジュニア選手はもっと上を目指せることになるだろう。

最後になりましたが、「今年も応援ありがとうございました!また、この活動にご協賛、ご支援、本当にありがとうございました!これからも選手のバックアップ、フォローをよろしくお願いします!」

「Allianz ASP World Junior Championships 2014」

期間:10/25-11/2
会場:ポルトガル / エリセイラ /リベイラ・ディリャスビーチ

・ Mens

優勝: Vasco Ribeiro (PRT)
2位 : Italo Ferreira (BRA)
3位 : Tomas Fernandes (PRT)、Deivid Silva (BRA)
5位 : Soli Bailey (AUS)、Noe MarMcGonagler (CRI)、Mateia Hiquily (PYF)、安井拓海 (JPN)

・ Womens

優勝: Mahina Maeda (HAW)
2位 : TessaT hyssen (GLP)
3位 : Chelsea Tuach (BRB)、Bronte Macaulay (AUS)
5位 : Bailey Nagy (HAW)、Keely Andrew (AUS)、Ella Williams (NZL)、Teresa Bonvalot (PRT)

※日本人成績

・ Mens
QF / 5位 安井拓海
R-4 / 9位 大原洋人
R-3 / 17位 村上舜、新井洋人、仲村拓久未
R-2 / 33位 塚本勇太

・ Womens
R-4 / 9位 野呂玲花
R-2  / 13位 田代凪沙


・大会 HP

・Mens
http://www.aspworldtour.com/events/2014/mjun/1080/allianz-asp-world-junior

・Womens
http://www.aspworldtour.com/events/2014/wjun/1081/allianz-asp-world-junior

・大会 フォト

安井 拓海(ヤスイ・タクミ)
安井 拓海(ヤスイ・タクミ)
安井 拓海(ヤスイ・タクミ)
安井 拓海(ヤスイ・タクミ)
安井 拓海(ヤスイ・タクミ)
大原 洋人(オオハラ・ヒロト)
大原 洋人(オオハラ・ヒロト)
大原 洋人(オオハラ・ヒロト)
村上 舜(ムラカミ・シュン)
村上 舜(ムラカミ・シュン)
村上 舜(ムラカミ・シュン)
新井 洋人(アライ・ヒロト)
新井 洋人(アライ・ヒロト)
新井 洋人(アライ・ヒロト)
仲村 拓久未(ナカムラ・タクミ)
仲村 拓久未(ナカムラ・タクミ)
仲村 拓久未(ナカムラ・タクミ)
塚本 勇太(ツカモト・ユウタ)
塚本 勇太(ツカモト・ユウタ)
塚本 勇太(ツカモト・ユウタ)
野呂 玲花(ノロ・レイカ)
野呂 玲花(ノロ・レイカ)
野呂 玲花(ノロ・レイカ)
田代 凪沙(タシロ・ナギサ)
田代 凪沙(タシロ・ナギサ)
田代 凪沙(タシロ・ナギサ)
ヤスイ、イズキ、ナカムラ
ジェッジブース
タクミ、イズキ、ナギサ
Allianz ASP World Junior Championships 2014
Allianz ASP World Junior Championships 2014
ASP世界ジュニアチャンピオンは「バスコ・リベイロ(PRT)」と「マエダ・マヒナ(HAW)」

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