
今年も世界一のジュニアを決める大会が開催された。今回の会場はブラジル。観光地としても風光明媚なサンタカタリーナ州フロリアーノポリスにあるジョアクイナビーチ。ブラジルの中でも5本の指に入るポイントとして有名だ。会場はビーチながら頭半からダブルの波がシフトするポイント。低気圧からのウネリが入れば何日も波が続く。ただし、ビーチということもあり砂が動けば、コンディションは不安定。サイズはあるものの選手にとっては難しい戦いとなった。
今大会はブラジル開催ということもあり、WCT選手のガブリエール・メディーナを筆頭にマイケル・ロドリゲスという有名選手の他、無名ながらも最強の布陣となった。地元のブラジル勢が増えた理由の一つにハワイでWQSが重なっていたことが考えられる。今年度のWQSは大会自体が少なく、今シーズンのポイントを獲得するためにも残り少ない大会に参戦したいということで辞退した選手もいたからだ。日本の村上舜もその一人。
日本はこの理由で出場枠の男5人が6人に増え、加藤嵐、新井洋人、仲村拓久未、大原洋人、稲葉玲王、渡辺寛というメンバーに。女子は高橋みなと、野呂玲花と実績含め申し分無いチームとなった。大会は2日間ウェイティングの後、男子からスタート。ストームの後で満足な練習もできないながら、仲村拓久未、大原洋人が1位通過でR-3へジャンプアップ。残りの4人はR-2へ回ることとなった。しかし、波は若干、日本に似ていることもあり、R-2でも日本人選手は快進撃。ラッキーもあったものの運も実力のうち。このWJCに参加して初めて選手全員がR-3へ進出した。
女子は高橋みなとがR-2へ回るものの、野呂玲花がR-3へラウンドアップ。ヒザのじん帯を痛めながらも立派な戦いを見せてくれた。続けて行われたR-2。高橋みなとは全く自身の波乗りができずに、残念ながらここで終了。WJCの大会が最後となる高橋にとっては残念な結果となったが、この経験をぜひ次につなげて欲しい。R-3の野呂玲花は一度逆転するものの再び追い込まれ、僅差ながらの敗退と今大会を終えた。
続けて男子のR-3。ランキングでシードを組み直すと、なんと日本人対決に。新井洋人vs 仲村拓久未。大原洋人 vs 渡辺寛という組み合わせとなってしまった。R?3の初陣はH-2に稲葉玲王。稲葉は今シーズンのISA世界大会、KOGの世界大会での経験からか、危ない場面でも落ち着いていて、そのままラウンドアップ。
H-7は新井洋人 vs 仲村拓久未。仲村が先攻でリード。新井も最後まで攻め続けたものの、ここは仲村が勝ち上がり。H-14加藤嵐。股関節の故障で満足な練習もできなかったこともあり、納得いく戦いができずにここで敗退。H-16は大原洋人 vs 渡辺寛。ここは大原がまとめてR-4へ。渡辺も積極的に攻めるもののワイプアウトが目立ちここで終了。
R-4はH-1に稲葉玲王。優勝候補のオーストラリアのマット・バンティングにガッツリ押さえられ、初出場ながらも9位という結果で終えた。H-4に仲村拓久未。相手はモロッコのラムジ・ボウカム。2人とも波の選択に苦労し、思ったように点が伸びない。緊張する時間が続く中、積極的に攻めた仲村だったが、パワーで勝るラムジが逃げ切り。仲村は0.06ポイント差。勝てただけに悔しい結果となった。
H-8には最後の日本人選手の大原洋人。相手はブラジルのジェシー・メンディス。試合運びは見事。相手をあせらせ、ここは難なくQFへラウンドアップ。続いてQFはタヒチのベヒアトゥア・プリュニエ。普通なら大原が優位のはずだが、らしくなく相手にリードを奪われたまま。冷静でいた大原は終了間際に波を捉えオフザトップ、最後はビッグエントリーの演技で大逆転。日本人初のSFに進出した。
SFの相手はWCT選手のガブリエール・メディーナ (BRA)。このヒートはガブリエルがパワー、テクニック全開。高さのあるバックサイドエアーをフルローテーションで決めれば、9.87ポイント。もうやりたい放題のワンマンショー。大原も今、できるすべてで対抗するも歯が立たず、今大会を3位という成績で終了した。
負けたとはいえ、大原にとってガブリエール・メディーナ (BRA)との対決は、決して無駄にならなかったと思う。これも将来のための布石として良い経験となったはずだ。そして、3位までの入賞者にはボーナスとして2014年度のプライムと6スターイベントへの出場権が与えられる。これはポイントが無いジュニア選手にとっては、大きなアドバンテージ。これで大原の来シーズンの戦いにも期待大だ。
さて、今大会の最終結果。優勝は男子がファイナルでもその勢いは止まらず ガブリエル・メディーナ(BRA)。女子はエラ・ウィリアムス (NZL)が、2013年度の世界ジュニアのタイトルを獲得した。おめでとう!
WJCはパーソナルな戦いながらも各地域の力を見る指針として、今回もASPリージョナル7地域の男子トップ4人の獲得ポイントの合計を計算した。昨年との比較も下記に表記。
2012 年度 | 2013年度 | ||
1位 Australasia | 1位 South America | 23,200 pts | |
2位 North America | 2位 Europe | 18,950 pts | |
2位 Hawaii | 3位 Japan | 16,250 pts | |
4位 South America | 4位 Australasia | 15,200 pts | |
5位 Europe | 5位 Africa | 10,450 pts | |
6位 Africa | 6位 North America | 10,250 pts | |
7位 Japan | 7位 Hawaii | 7,500 pts |
今大会の各参加人数は48人中、ブラジル13 人、日本6人、南アフリカ6人、アメリカ5人、オーストラリア4人、ハワイ3人、フランス2人、タヒチ2人、インドネシア1人、ポルトガル1人、イタリア1人、コスタリカ1人、モロッコ1人、レユニオン1人、ペルー1人という構成。
1位は地元の優位でブラジルのあるサウスアメリカ。2位にはモロッコ、タヒチ、ポルトガル、フランスなどのヨーロッパ勢。そして、日本が3位という成績。4位オーストラリア、5位アフリカ、6位ノースアメリカ、7位は参加人数が少なかったハワイという結果となった。
JJPは2年目、大会フォローとしては3戦目。昨年から比べると日本はなんと最下位から3位へジャンプアップ。今大会で初めて男子全員がR-3に進出。更にR-4へ2人、SFへ1人という成績で順位を上げた。ブラジル開催ということで各地域のベストメンバーが揃ったとは言えなかったが、逆に地元でもあるブラジル勢のこの多さで日本選手は良く戦ったと言えないだろうか?昨年の上位3地域、オーストラリア、ノースアメリカ、ハワイがまったくダメだった中で、十分善戦したと言えるだろう。
ただ。勝ち上がれば上がるほど、それぞれが初のフィールドでWJCでは未体験ゾーン。単純なミスも目立った気がする。もっと自分のサーフィンができれば、全員が上を狙えたと思う。これが次の課題だ。この経験をステップとして行けば、必ずもっと上を目指せる。慢心することなく、自信を持ち戦い続ければ必ず結果は出せるはずだ。
これを踏まえ、次年度のJJPはコーチングのスタッフの複数人制、ビデオ班の拡充、新しく女子のサポートメンバーを揃えたいと考えている。更なるバックアップのためにも現場主義で対応する予定だ。
最後になりましたが、「応援ありがとうございました!これからも引き続き応援よろしくお願いします!」
ASP WJC「HD World Junior Championship 2013-presented by Devassa」
期間:10/27-11/5
会場:ブラジル / サンタカタリーナ / フロリアーノ /ジョアクイナビーチ
・Men
優勝: Gabriel Medina (BRZ)
2位 : Ramzi Boukhiam (MAR)
3位 : 大原洋人 (JPN)、Matt Banting (AUS)
5位 : Michael Rodrigues IBRA)、Oney Anwar (IND)、Slade Prestwich (ZAF)、Vehiatua Prunier (PYF)
・Women
優勝: Ella Willams (NZL)
2位 : Tatiana Weston-Webb (HAW)
3位 : Chelsea Tuach (BRB)、Johanne Defay (FRA)
5位 : Frankie Harrer (USA)、Bianca Buitendag (ZAF)、Mahina Maeda (HAW)、Stephanie Single (AUS)
※日本人成績
R-4 / 9位 仲村拓久未、稲葉玲王
R-3 / 17位 新井洋人、加藤嵐、渡辺寛
R-3 / 9位 野呂玲花
R-2 / 17位 高橋みなと
・大会 HP
・大会 フォト































